ポケモンGOのARのクオリティは謎の会社”Magic leap”がもっと上げるはず!
AR + ポケモン という最強の組み合わせだが・・・
ポケモンGOやっていますか?
僕は本当に素晴らしいゲームだと思います。
システム自体は同じNiantic社から出た”Ingress”が先行していましたが、
一般受けにはほど遠い状態でした。
そこで世界最高のキャラゲーの1つであるポケモンと
組み合わせることで近年最高のヒットとなりました。
とか今さら説明されても・・・・
日本だとすでに2位転落
しかし、日本のiOSのアプリインストール数は結構伸び悩んでいるようで、
2016年8月には無料アプリランキングで2位に下がりました。
他の国ではこういうことは起きてないんですよね。
上のブログでは「日本人が外でゲームやるときは電車の中が主だから」一理あると思います。
あとクソ暑い中歩きたくないという人も欧米諸国に比べると多いと思います。
ARがショボ過ぎないか?
「うわ、結構グラフィックエグいな」
この感想を持った日本人結構いるんじゃないかと思います。*1
なんかポケモンが日本で見てたのより可愛くない気がするのです。
イラスト素人の自分は理論立てて説明でいないんですけど、微妙に可愛くない。
一方、プロモーション動画のキャプチャ
ポケモンの過去のCMからのキャプチャ
かわいい。
もちろん懐かしのプレイステーションの時代から、
デモとゲーム画面では雲泥の差はありましたが・・・
メガネをつけるだけでこんな可愛いポケモン達が自分の隣で仲良くTVを見てたらいいな、
と思わせるだけのクオリティはあります。
「これは合成CGではない」Magic leapのARの技術はずば抜けている!?
アメリカでもgoogle, facebook(oculus), appleなどの大企業が
AR・VRの製品化に力を注いでいます。
しかし2014年・2015年とガッカリ商品*2が続き、停滞感が拭えなかった。
そんな中”Magic leap”という会社が2015年に衝撃的な動画を公開した。
これらの動画は全て装置から録画し、後の加工は一切加えてないらしい。
画面酔いしにくいハードウェアも開発
これらのクオリティの高いVRを映し出すヘッドセットがこれだ。
見た目はそれほど画期的ではないが、
すぐ近くのディスプレイから映し出されたのは信じがたいほど
遠くの風景でも違和感なく、酔いを感じることなく、
腰につけたデバイスとリンクして様々なVRを楽しめるようだ。
この「近くのメガネに映っているはずの画像を遠くの風景へと自然と馴染ませる」技術の差はFacebook/Occulusのデバイスでは到底敵わないとの評判である。
何の商品もないのに5000億円の企業価値?
素晴らしい技術をたくさんもっているMagic leapだが
実は何の商品もまだ売り出していない。
本社がIT関連会社としてはフロリダ*3にあることや
公開されている情報が限られているにも関わらず、
GoogleやAlibaba*4などの大会社の支援をうけ
既に約5000億円の企業価値概算されている。
慎重論、過去にも噂やプレゼンだけで盛り上がった会社が潰れた
何の商品も出さずにプレゼンや製品紹介だけで5000億円の評価を受ける。
実は似たような会社は過去にもあった。
Stanford大学を19歳で退学したElizabeth Holmesは
Theranosという微量の血液により健康診断ができる、といってサービスを開始。
なんと約1兆円もの企業価値を気づきあげた。
しかし実際には微量の血液による健康診断ができる
技術などなかったことをThe Wall Street Journalが2015年に指摘、
そして調査の結果営業停止勧告が2016年6月正式に出された。
Magic leapは・・・たぶん大丈夫
Magic leapに対しても懐疑の目を向ける人はたくさんいる。
その理由として
「ビデオなんていくらでも捏造可能」
「部屋が不自然に暗い、屋外の映像を出してこそ」
が挙げられている。
しかし、Holmesとは大きく異なる点がいくつかある。
①メンバーの職歴がしっかりしている
CEOのRony Abovitzは医者の手術用ロボットアームの開発会社を設立している。
他のメンバーもロードオブザリングの特殊効果の統括者だったり、
ゲームデザイナー・小説家として名声を得ている、
いい意味でのベテランが揃っている。
②専門家が判断して投資している
Theranosのケースにおいては投資家が
微量の血液解析における専門家でなかったことが指摘されている。
Magic leapの場合はGoogle, Facebook (Oculus)といった
彼ら自身もVRを作製している会社が投資をしている。
同業者の目をごまかすのは難しいと思われる。
Magic leapの動向にこれからも注目することをオススメします。
ビッグデータ・人工知能の医療への応用 単純に喜ぶべきことなのか?
人工知能が医者を超えた?
人工知能が医者が何人かかっても分からなかった患者さんの病名を言い当てた。
決して医者の人たちを責めるつもりはないが、知識の詰め込みを前提する職業はこれからどんどん代替していくことは間違いない。
(最新年で減って見えるのは集計途中のため)
上記の図を見ても爆発的に増える論文を全てチェックすることは人間には不可能だ。
学者の世界でも専門分野しかわからない人間が増えている、というがこの論文の数を見る限りそれは避けられない事だ。
IT関連会社の相次ぐヘルスケア部門設立
これを既に見越して多くのIT関連会社がヘルスケアの分野に進出している。GoogleはCalicoという人間の寿命を延ばす研究を推し進める会社を立ち上げたり、前回の投稿でも書いたようにBioelectronicsの分野にも手を伸ばし、ビックデータと人工知能を従来からの生命科学研究と組み合わせようとしている。
日本の会社でも最近ではDeNAがヘルスケア部門を立ち上げ、格安で個人のゲノムを読む”MYCODE”を立ち上げ、DeNAの創始者である南場氏もヘルスケアに力を入れることを明言している。
人工知能で小説創作!?コンクール一次審査も通過?
もっとも才能や経験が必要だと考えられてきた創作の分野でも人工知能は進出している。大量の過去の名作をデータとした人工知能が文章生成のアルゴリズムを使用して創作をしている。
そして星新一賞の一次審査を通過したのだ。*1
「賢くなったのは機械ではなく人類だ」
最近では人工知能の急速な進出に対し「職がなくなり不幸になる人間が増えるのではないか?」という意見もかなり強く出ている。
不安に思うのはビックデータや人工知能に触れたことない人からすると当然だと思う。急速に発展しているように見えるし。
「賢くなったのは機械でなく人類だ」
小説作製の人工知能を開発した佐藤教授はこのように述べており、これは非常に重要な視点であるように思う。
火や鉄、自動車と同じように人間社会を幸せにする技術
人工知能の歴史は長く、1950年のアランチューリングの”Computing Machinery and Intelligence”という論文の発表まで遡る。 その後、2度の研究ブームと応用への失敗を経て、ようやく最近3度目で花開きそうな技術なのである。
人類の歴史は道具の進歩の歴史でもある。様々な技術を手に入れるたびに人類は幸せになってきた。
逆に今から明治時代とかに本気で戻りたいですか?
観光気分で行くのであればともかく、とても現代人には厳しい環境だと思います。
鉱山から垂れ流しの汚水、下水道の整備はひどく、病気の治療法も確立されていません。
今から100年後の世界の未来人も2016年を同じように思うのではないでしょうか?
人工知能などの様々な科学技術が発展し、より住みやすい環境になっているのではないでしょうか?(多少の弊害は発生しているでしょうが)
医者になりたいかもしれないけど、1年に20万報の論文読みたくないでしょ?
車の運転は好きだけど、腰が痛くなるまで長時間タクシー運転したいですか?
小説書くのは好きだけど、アイデア箇条書きからコンピュータが第一稿書いてくれた楽でしょ?
それよりも・・・富の再分配が問題 ~ベーシックインカム~
「社会全体として富が増えるのはわかる、でも具体的に庶民はどう稼ぐの?」
20年くらいのスパンで見ればまだまだ発展途上の技術なので、それほど大量の人間が職を失うということはないはずです。同時にスキルがなくてもできる人工知能関連の仕事が増えることも考えると大きく全体の仕事の量が変わることはないでしょう。
長期的に見れば、人工知能関連のスキルや代替不可能なスキルをもった人間だけに富が集中する可能性は0ではない。*2
とはいえ全体としては便利に絶対になっているはずなのである。
例えば患者さんは人工知能のお陰でもっと楽に低価格で救われているはずだ。
面白い小説とか漫画も増えているはずだ。
ビッグデータや拡張現実によってSNSもよりリアルな人と人とのコミュニケーションができるようになっているはずだ。
でも最低限のお金がなくてはやはり不幸せだ。
これに関しては自分は専門家でも何でもない。
単純に一人の市民としてこのままいったら資本主義はどうなるんだろうという気持ちだけだ。
やはり、そこで各市民に最低限の給料を国から支給するベーシックインカムを導入するのが一番なのではないか。
仕事をするモチベーションを失わさせずに最低限の給料が補償される、現状ある選択肢の中ではとてもよい政策に思えます。
発達した人工知能が今までの有能な政治家や学者の論文をもとにもっと素晴らしい富の再分配システムを作ってくれるかもしれませんが!
恐れる必要などない。人工知能はもっと楽しい世の中にしていけるはず。
生体電子工学(Bioelectronics)って何? ~Googleと製薬会社~
Galvani Bioelectronics
Googleのヘルスケア部門の子会社と英国の製薬会社・GSKの新事業の名前だ。
薬ではなく電気信号で患者を治療する
まるでSFのような話だが生体電子工学が目指すゴールはそこだ。*1
どんな仕組み?
腕や脚などに1ミクロン以下の太さの針を挿入し、
Apple Watchなどのウェアラブルデバイスと連動させる。
そのデバイスを通して24時間神経の電気信号を解析、
人工知能が必要だと判断したときに適切な電気刺激を送り、
神経活動を改変、患者の症状を緩和する。
例:糖尿病Ⅱ型の患者
インシュリンが出ても反応すべき神経が反応しないのが問題なので、
食物摂取をデバイスが感知し、反応すべき神経を適切に刺激してやる。
例:リウマチなどの自己免疫疾患の患者
リウマチは自分を守るべき免疫系が異常を起こし、自分自身を攻撃してしまう。
適切な神経を刺激し、免疫系の攻撃を抑えることで大きな効果が期待される。
どんなメリットがあるの?
①副作用が少ない
標的となる神経だけに作用するために副作用が少ない。
今までは薬などの化学物質で神経活動を制御してきたが、
注射や口から摂取するため関係のない正常な神経にも作用してしまうし、
薬という異物が体に混入することで予想外の作用を引き起こす可能性もある。
例:モルヒネ
痛み止めとしての効能があるが麻薬であり、殺人にも使用されたほど。
②24時間365日世界中どこでも治療
いきなり発作を起こしたり、症状が悪化したときに
いつでもデバイスが応急処置ができる。
病院に入院中だったとしても1秒を争う状況ではかなり重要に働く。
③運動機能の補助
最近ではお年寄りや障害がある人、もしくは過酷な肉体労働者のための
パワースーツが脚光を浴びている。
正確に神経がどのように体を動かしているのかが分かれば、
物理的な補助がなくとも、軽いデバイスでより効率のいい運動機能の
補助装置として機能するはずである。
④超リアルな仮想現実体験
最近ではVR(仮想現実)やAR(拡張現実)といったが大きなブームになっており、
香りや風の出る映画館や実際の風景とキャラクターを重ね合わせるPokemon goなどがある。
そうした体験を直接神経活動を制御することで、超リアルに体験できるようになる。
具体的にはCisco Systems(シスコシステムズ)という世界最大級のコンピュータネットワーク機器会社がこの方向で開発をすすめている。
危険性はないの?
①記憶がいきなり改変されたりしないの?
末梢神経系*2という脳から離れた部分だけを刺激しているので
そういったことはありえない。
しかし、以下の危険性はおおいにある。
②ソフトウェアの暴走
当然だが、一般のソフトウェアよりはるかに高い精度でバグ取りをしなくては危険だろう。
またネットワークに繋がっている場合ハッキングによる危険性も考慮しなくてはならないだろう。
③わずかな針の刺した場所のズレ
人間の神経は数ミクロン単位で絡み合いながら電気信号を送受信している。
したがって、わずかなズレが大きなミスを生む可能性も高い。
で、本当に可能なの?
GSKのBioelectronicsのVice PresidentであるKris Fammは
「10-20年でⅡ型糖尿病への応用が可能」とBBCのインタビューに答えている。
しかし、GSKがどれくらい本気なのかは不明瞭だ。
"Galvani Bioelectronics"には大体7年間で700億円超の投資予定とのこと。
これはGSKの年間純利益の10分の1ほどでそれほど大きなプロジェクトとは言えないだろう。
また、実際に人間に挿入する針は誰が製造させるのだろうか?
ナノエンジニアリングの会社か研究機関だと思うが、コアとなる技術なのでかなり重要なパートとなる。
生体に関わるナノエンジニアリングという意味で似た、血液検査の使い捨てマイクロデバイスがある。開発されて久しいが安全かつ大量に製造する方法はいまだに発明されていない。*3
またこれらの課題をすべて克服したとしても1つ大問題がある。
「どうやって目標となる特定の神経を探すの?」
外科手術と違って見た目や大体の場所で心臓や他の臓器の見分けがつく訳ではない。
神経は大体似たような見た目で違う種類の神経が隣接しているからだ。
これを克服するにはいくつか可能性がある。
1つは神経をつつむミエリン*4の厚さで判断する方法だ。
このミエリンの包む層の厚さは手足などの神経では種類ごとに異なっている。
層の厚みが違うと、それぞれ違った波長の光を強く反射する性質があることが知られている。
この性質を利用して対象の神経に針を指す方法がある。*5
ただ上記のように現状の技術では、太くて緑色っぽい、細くて黄色っぽい、くらいの差だ。
無害な蛍光物質を注入して、特定の神経をはっきり強く光らせる方法や、
微弱な電流を流し、神経の反応性*6を見ながら形の微妙な差は判別してく方法もある。
しかし、安全面・心理面で最初の方法より見劣りする。
克服すべき課題も多いが、全体としては明るい。
この分野はオバマ大統領が特に力をいれている神経科学分野の中でもアメリカの国家プロジェクトの1つに指定されているからだ。
"ElectRX"という名前でアメリカ防衛省からの補助金、DARPA*7が企業や研究所に2-3年ほど前から大規模に送られており成果をあげつつある。
自分も"ElectRX"のプロジェクトの一環としてナノエンジニアリングの研究室と一緒にデバイス応用に力を入れている。まだ実験動物の段階ではあるものの
生体電子工学が近い将来に大きな革命を起こすことは間違いないだろう。
*1:Galvaniとは電気により動物の四股が反応することを発見した18世紀のイタリアの科学者の名前からつけられている
*2:英語だとperipheral nervous systemちなみに反対語は中枢神経系(脳と脊髄)central nervous system
*3:Theranosという会社が「発明できた」と嘘をついて1兆円の資産価値を築いた、この話はまた今度書きたい
*4:ミエリンは神経を包み、電気信号の伝達速度や無駄なエネルギーの消費を抑える役目がある。
*5:画像引用元: Schain, A. J., Hill, R. A., & Grutzendler, J. (2014). Label-free in vivo imaging of myelinated axons in health and disease with spectral confocal reflectance microscopy. Nature Medicine, 20(4), 443–449.
*6:同じ強さの電流を流しても神経の種類によってそれぞれ反応が異なることが知られている
*7:ちなみにDARPAがサポートした発明品として最も有名なものはインターネット