ビッグデータ・人工知能の医療への応用 単純に喜ぶべきことなのか?
人工知能が医者を超えた?
人工知能が医者が何人かかっても分からなかった患者さんの病名を言い当てた。
決して医者の人たちを責めるつもりはないが、知識の詰め込みを前提する職業はこれからどんどん代替していくことは間違いない。
(最新年で減って見えるのは集計途中のため)
上記の図を見ても爆発的に増える論文を全てチェックすることは人間には不可能だ。
学者の世界でも専門分野しかわからない人間が増えている、というがこの論文の数を見る限りそれは避けられない事だ。
IT関連会社の相次ぐヘルスケア部門設立
これを既に見越して多くのIT関連会社がヘルスケアの分野に進出している。GoogleはCalicoという人間の寿命を延ばす研究を推し進める会社を立ち上げたり、前回の投稿でも書いたようにBioelectronicsの分野にも手を伸ばし、ビックデータと人工知能を従来からの生命科学研究と組み合わせようとしている。
日本の会社でも最近ではDeNAがヘルスケア部門を立ち上げ、格安で個人のゲノムを読む”MYCODE”を立ち上げ、DeNAの創始者である南場氏もヘルスケアに力を入れることを明言している。
人工知能で小説創作!?コンクール一次審査も通過?
もっとも才能や経験が必要だと考えられてきた創作の分野でも人工知能は進出している。大量の過去の名作をデータとした人工知能が文章生成のアルゴリズムを使用して創作をしている。
そして星新一賞の一次審査を通過したのだ。*1
「賢くなったのは機械ではなく人類だ」
最近では人工知能の急速な進出に対し「職がなくなり不幸になる人間が増えるのではないか?」という意見もかなり強く出ている。
不安に思うのはビックデータや人工知能に触れたことない人からすると当然だと思う。急速に発展しているように見えるし。
「賢くなったのは機械でなく人類だ」
小説作製の人工知能を開発した佐藤教授はこのように述べており、これは非常に重要な視点であるように思う。
火や鉄、自動車と同じように人間社会を幸せにする技術
人工知能の歴史は長く、1950年のアランチューリングの”Computing Machinery and Intelligence”という論文の発表まで遡る。 その後、2度の研究ブームと応用への失敗を経て、ようやく最近3度目で花開きそうな技術なのである。
人類の歴史は道具の進歩の歴史でもある。様々な技術を手に入れるたびに人類は幸せになってきた。
逆に今から明治時代とかに本気で戻りたいですか?
観光気分で行くのであればともかく、とても現代人には厳しい環境だと思います。
鉱山から垂れ流しの汚水、下水道の整備はひどく、病気の治療法も確立されていません。
今から100年後の世界の未来人も2016年を同じように思うのではないでしょうか?
人工知能などの様々な科学技術が発展し、より住みやすい環境になっているのではないでしょうか?(多少の弊害は発生しているでしょうが)
医者になりたいかもしれないけど、1年に20万報の論文読みたくないでしょ?
車の運転は好きだけど、腰が痛くなるまで長時間タクシー運転したいですか?
小説書くのは好きだけど、アイデア箇条書きからコンピュータが第一稿書いてくれた楽でしょ?
それよりも・・・富の再分配が問題 ~ベーシックインカム~
「社会全体として富が増えるのはわかる、でも具体的に庶民はどう稼ぐの?」
20年くらいのスパンで見ればまだまだ発展途上の技術なので、それほど大量の人間が職を失うということはないはずです。同時にスキルがなくてもできる人工知能関連の仕事が増えることも考えると大きく全体の仕事の量が変わることはないでしょう。
長期的に見れば、人工知能関連のスキルや代替不可能なスキルをもった人間だけに富が集中する可能性は0ではない。*2
とはいえ全体としては便利に絶対になっているはずなのである。
例えば患者さんは人工知能のお陰でもっと楽に低価格で救われているはずだ。
面白い小説とか漫画も増えているはずだ。
ビッグデータや拡張現実によってSNSもよりリアルな人と人とのコミュニケーションができるようになっているはずだ。
でも最低限のお金がなくてはやはり不幸せだ。
これに関しては自分は専門家でも何でもない。
単純に一人の市民としてこのままいったら資本主義はどうなるんだろうという気持ちだけだ。
やはり、そこで各市民に最低限の給料を国から支給するベーシックインカムを導入するのが一番なのではないか。
仕事をするモチベーションを失わさせずに最低限の給料が補償される、現状ある選択肢の中ではとてもよい政策に思えます。
発達した人工知能が今までの有能な政治家や学者の論文をもとにもっと素晴らしい富の再分配システムを作ってくれるかもしれませんが!